2018年4月19日木曜日

地味のあるデザイン














お知らせブログとは別に、今考えてることをブログに書こうと思いつつもなかなか書けず。
今回のは2月の終わり頃の話です。


好調不調の波っていうのは確かにあって、不調の時は大体「このままでいいのだろうか。」とモヤモヤした感じになってます。
この頃もちょうどそんな感じで、そんな時は突破口を開こうといろいろもがいてみるけど結局上手くいかないことがほとんどです。
それでももがき続けていると、ある時パチッとなにかのスイッチが入ったようにいい考えや、新しい出会いがあったりするのです。

この時は、僕らがよく行くお店でご飯を食べてると小泉さんに出会ったのです。(出会ったといってもお声掛けしてはないのですが。)
小泉さんとは、写真にある『地味のあるデザイン』の著者である小泉誠さんのことです。
この出会いは、まだ読めてなかった『地味のあるデザイン』を読むタイミングだなと直感で感じました。


そもそも小泉さんを知ったのは、十数年前デザインの専門学校に通い始めた頃に読んだ、写真左の本『日本人の椅子』からです。
この本はそれまで、デザインってなんかオシャレなものを作ることでしょ、みたいなイメージを、「デザインとは人である」と感じさせてくれたものでした。
そのデザイナーさんが持つ経験や思想、そしてプロデューサーであるこの本の著者鈴木恵三さんとのやりとりを経て生まれるカタチ。
デザインっておもしろいものなんだと初めて感じた時でした。
その中でも小泉さんが作った「おむすびスツール」と、それが生まれるまでのやりとりはとても魅力的で、最初の尊敬する方になりました。


ほぼ小泉さんの影響で、東京に出てきたと行ってもいいくらいで、出てきてからちょうど10年になります。
このタイミングで読んだ『地味のあるデザイン』は、もう何回も「すごいな…」ともらしてしまうものでした。

ちゃんと誠実に自分のスタンスを説明する、違うなと思ったらちゃんと伝える。時には喧嘩もする。
しっかりとした信頼関係を築いたからこそできることです。
そしてそれにはとっても時間がかかる。

小泉さんがやってきたことは知っていたつもりでしたが、それを、信念を曲げずに続けること。
続けられるようにすること。
その積み重ね、そしてその目には見えない時間の重さ。
それはもう「すごいな…」としか出てこないのです。


あとこの本のなかで心に残った部分を書き出してみます。

・デザインは経験。質の良い経験が大切
・組織と個人のスタンスの違いを語る言葉として、腑に落ちた表現が「事業」と「家業」
・強い点を打つと、同じくらい強い思いを持った人たちに出会うことができる

僕自身の経験としてなんとなく考えていたことが、小泉さんの言葉に落とし込んでしっかり書かれていて、かなり頭の整理になりました。
個別にしっかり考えていきたいことなので、また違う機会にまとめたいと思います。


この本の最後に、「この本を作る意味は?」と自問自答の末、製作中止の危機を迎える時もあったというエピソードが書かれています。
恐らくですが、読んでいる人も目に見える文字や写真の部分だけを見ていると、「じっくり しっかり ゆっくり」という小泉さんのスタンスは感じきれないのかもしれません。
もちろんできるだけ伝わるように確認、校正された文章になっています。

ただ僕は目に見える文字や写真をあんまり信用していません。
否定しているわけじゃなく、でもそれだけじゃないよ、と言いたい。
むしろ目に見えてない部分の方が深く、大きく、おもしろいと思っています。

この『地味のあるデザイン』を読んで、その思いはさらに強くなりました。
そういう目に見えない部分が「地味」なのかな。
そして僕のやりたいことに通じるところなのかと思いました。


『日本人の椅子』と『地味のあるデザイン』は加藤けんぴ店に置いてあります。
隠し文庫にあったり、今はゆっくり読める状態じゃないけど、機会があればぜひ読んでみてください。

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