2016年9月21日水曜日

大津町のからいも



夏期休業中、大分湯布院から熊本方面に向かいました。
熊本地震がきっかけで知ることになった、さつまいもの産地、熊本。
特に生産量が多いのは、震源にほど近い西原村、大津町でした。

熊本に行く前、特にツテもアテもなかったけど、なんとか農家さんに連絡をとれてお会いできることになりました。

大津町の中無田さん。
大津町のさつまいも栽培が始まった平川地区で代々芋農家をされている方です。
この地区は平川という川があるんだけど、水量は多くなく稲作には適さない土地だったそう。
そこで始まったさつまいも栽培。
さつまいもには適した土だったようで、育てる農家さんが増えていき、今ではからいもフェスティバルなんて開かれるほどに。こちら毎年人気なんだそう。

ちなみに九州の方は、「さつまいも」じゃなく「からいも」と呼びます。
本州からみると「薩摩」から来た芋だけど、九州は「唐(中国)」から来た芋なので「からいも」。
芋が伝わってきた歴史と、その土地の人の親しみのある距離感を感じられて、いいなあと思います。


さて中無田さんにお会いして、最初に連れて行ってもらったのはからいも畑と芋を保管する貯蔵庫。




大津町のからいも栽培の特徴は、この貯蔵庫。
コンクリート製で土に埋まるように作られた貯蔵庫は、一年を通して保管に適した温度湿度を保ちます。

しかしここも熊本地震で大きな被害を受けており、ひとつはこれから修復作業に入るところでした。


ここで栽培されている品種は「高系(こうけい)14号」という昔からある品種。
ホクホクとした栗のような食感で人気となり、全国各地で作られています。
「鳴門金時」や「五郎島金時」「大栄愛娘」はこの品種を、さらに選抜してブランド化したものです。
大津町でも「ほりだしくん」というブランドがあります。

しかし近年では、ホクホクよりもしっとりとした食感の方が人気があり、「紅はるか」や「シルクスイート」の栽培が増えているそうです。
しかもこの新しい品種の方が栽培や保管にも優れているということで、高系14号はどんどん姿を消しています。
それもなんだか寂しい話です。
芋けんぴにはホクホクの方が向いていますし、なんとか作り続けてもらいたいです。




そして次は、出荷作業をしている場所に。
きれいに洗ったからいもを、中無田さんのご両親がひとつひとつ丁寧にひげ根を落としていました。
「食べる人がよろこんでもらえる、丁寧な仕事がしたい。」
そんなふうに話してくれました。
からいも農家さんは、規模の大きい取引になりやすいので、こうした考えを持った方はとても信頼できると感じました。



最後に道の駅に連れて行ってもらい、熊本名物の「いきなり団子」と「いも天」を食べました。
いきなり団子は知っていましたが、いも天は初めて食べました。
あのうどんと一緒に食べたりする芋のてんぷらでしょ?と思いましたが、ちょっと違います。
衣自体に塩味や甘みがついていたりして、熊本の方にとっては昔ながらのおやつ的な存在のようです。


そんなわけで熊本大津町のからいもを仕入れることができました。
本日より芋けんぴとして店頭に並びます。
味は高系14号のすっきりとした甘みに合うよう黒糖を使いました。
ぜひ食べてみてください。

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