2019年1月27日日曜日

数学する身体

数学や物理学、宇宙のことなどに興味があります。
多くの人が小難しいお勉強なイメージを持つそれらのものを、意外と嫌いにならずに済んだのは高専生の頃の経験があったから。

もともと問題を解くのが好きだったのかもしれません。
ゲーム好きだったし、ゲームをする感覚だったのかな。



高専での物理学の授業。
割とベテランな先生だったけど、説明がすごく丁寧でした。
その中でよく覚えているのは、力学的エネルギー保存の法則を教わった時です。

力学的エネルギー保存の法則は、理想的な条件のなかだと位置エネルギーと運動エネルギーを足したものは一定というもの。
その説明で、抵抗や摩擦がない中で振り子を動かすと、ずっと揺れ続けるというのがありました。
逆にいうと現実に振り子を振ると、空気抵抗などの要因で、だんだんと振れ幅は減ってい
きいつかは止まってしまうということです。

その映像は頭の中で容易にイメージできて、感覚的に「わかった」と思えたのです。
それは初めて現実と教科書のなかの数式の世界が繋がった瞬間でした。
さらに言うと、理想的な環境では保存されるエネルギーが、現実的な要因で減少していくのは、現実は理想通りにはならないという、直感というか身体的な感覚として捉えるようになりました。

物理学は図で表せるのがいいですね。イメージしやすいから。
あと「ベクトル」の話も好きなのですが、別の機会に。




ようやく本の話になるのだけど、そんな経験から手にした『数学する身体』。

数学という言語すら排除し、機械でも実行できるよう形式化が進められた、一見冷たく無機質と思える数の世界。
その世界にどう身体性が関わってきたのか。
古代から現代の数学史から認知科学の事例など、そしてアラン・チューリングと岡潔。


数々の視点から丁寧に「数学する身体」を描き出していく。

後半の岡潔についての文章は、この本を書くきっかけになった情熱が込められていて、グ
ッと引き込まれました。
それとともに、難しい話ではあるのに数学の知識がなくても伝わる文章力に驚きました。
自分の確信を得た想いを、そんな想いを持っていない人にも伝わってほしいと願い、史実を交え、言葉の表現を選び、情熱を持って伝える。
一冊の本にまとめあげた凄みを感じる本でした。

年の初めからいい本に巡り会えました。
今年は積極的に本を読もうと思います。










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