2018年7月29日日曜日

浅野養鶏場

※7/9〜7/30まで、夏期休業となります。
ご迷惑おかけしますがよろしくお願いいたします。


先日、玉子でお世話になっている『浅野養鶏場』さんに伺うことができました。


あきる野市の山と川に挟まれた土地にその養鶏場はあります。

入口にはとても賢いシェパードくん(名前は聞き忘れました)がいます。













シェパードくんの大きさにビビっていたら、浅野さんが現れ養鶏場を案内してくれました。














まずは軍鶏(しゃも)の鶏舎。
「東京しゃも」という厳しい品質を守り続けるブランドの鶏さんたち。
鳴き声はニワトリと違っておとなしめでかわいい。

浅野さん曰く、
「ただ単に品種改良すればいいわけじゃない。昔から変わらない野性味のあるしゃもの味を変えずに、調理する職人さんの意見も聞きながら育てている。」

いただいた「東京しゃも熟成低温薫製」は生ハムのように食べることができ、ほどよい塩気と薫製の香り、そして噛めばひたすらに旨みがやってくる一品でした。
















次は当店で仕入れている「うみたてたまご」を生んでくれている鶏舎へ。
”さくら”と呼ばれる純国産血統の鶏たち。
餌はとうもろこしがメインの不純なものは一切入っていない自家製飼料。
なので黄身はきれいなレモン色。

浅野さんの玉子を使うようになって、スーパーで売っている変に濃い色の黄身だったり、ビタミンなんちゃら配合といううたい文句のものは食べる気が失せてしまいました。
「なんで玉子でそのビタミンを得なきゃいけないの。それならサプリでいい。」とはホントそのとおり。















鶏たちを育てる環境には特に力を入れています。
この地に移ったのも、北に山がありそのすぐそばに川が流れていることで、南に抜ける新鮮な風が常に吹いているから。
子供の頃、ウチの近くにも鶏舎がありそこは近づく度にひどい臭いだったけど、浅野さんの鶏舎はそこでずっと話していても平気なくらいの臭いです。

クモの巣があちこちに見受けられたけど、それは全部掃除してしまうと逆によくないのだそう。
クモが鶏につくダニを食べてくれるのです。
自然の絶妙なバランスによって作られた環境で、おいしい玉子は育てられています。



案内していただいた後に少しお話を聞くことができました。

この道60年、83歳になられた浅野さん。
趣味は空を飛ぶこと。

10年ほど前からモーターパラグライダーを始められたそう。
空を飛びたい、という衝動からモーターパラグライダーの先生のところへ行き、初めは高齢を理由に断られたけど、何度もお願いしてその元気が認められて技術を習得。
そして空を飛び、その時に撮った映像を見せていただきました。

見渡す限りの地平と、それ以外は空。

映像でみるだけでは言葉にできない体験がそこにはあるのでしょう。
浅野さんが空を飛んでみて改めて感じたのは、「空を飛ぶには”力”がいる。」ということ。
人間が飛ぶには、でっかいパラグライダーとモーターを担いで、でっかい場所もいる。
そのくらい力が必要だけど、鳥は身ひとつで飛び立てる。

鳥はすごいんだよ。と教えてくれました。

ちなみに最近の趣味はポルシェに乗ること。
昔ながらの佇まいの家に一年ほど前に買ったポルシェが停めてありました。

「そのアンバランスさがいいんだよ。あと数年乗り尽くしたら今度は欲を全部捨てて乞食になりたい。奥さんは嫌がるけどね。」
と、どこまで本気なのかわからないことをおっしゃっていました。全部本気な気もするけど…


あと今の人には教養が足りない、のだそう。
戦争を体験している浅野さんは、小さい頃絵描きのお兄さんの影響を受け、油絵、クラシック音楽などに触れていきます。
そこで学んだ知識や感性が今の浅野さんを作っているようにみえました。

もうひとつ印象に残ったのは、
「自由は戦って得るもの。」という言葉。

芸術の歴史をみても、自由を得るための戦いはくり返されていたそうです。
しかし現在の日本では戦う人は少なくなっています。
僕も、自由でありたい、とは心では思っていました。
でも確かにそれを得るには、今までのものと戦う必要があることに気付きました。

モーターパラグライダーを始めた頃は、空を飛ぶと近所の方に通報されて警察が待ち構えていたそうです。笑

なにかをやりたいと思って、それをやるには、強い意志の力が必要なのです。



この日もまた濃密な一日となりました。
浅野さん、ありがとうございました。


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